
現代社会では、ストレスや不規則な生活習慣、環境汚染などが要因となり、人々の健康が脅かされています。特に、免疫力の低下は様々な病気のリスクを高めるため、私たちの生活の質にも直接影響を及ぼします。そのような状況下で、免疫力を高め、全身の健康状態を向上させる有効な手段として注目されているのが「血液オゾン療法」です。今回は、そのメカニズムや効果、安全性に関する情報を詳しく紹介します。
Contents
血液オゾン療法の歴史
オゾンというと、真っ先に「オゾン層」を思い浮かべる方が多いと思いますが、オゾンは100年以上も前から感染症の予防・治療など、医療において活用されています。現在では、様々な疾患に対する治療として用いられるほか、強力なアンチエイジングの手法としても知られ、100歳を超える長寿であったイギリスのエリザベス女王の母君“クイーンマム”が、オゾン療法を定期的に受けられていたことは有名です。
オゾンを使った治療法の歴史は古く、第一次世界大戦中には既にオゾンガスの局所注射が行われていたと言われています。1957年にドイツで近代的なオゾン発生器が開発されたことを契機として、1961年にはすでに血液を取り出してオゾンと混ぜて戻すという現在の血液オゾン療法がスタートし、ドイツを中心としたヨーロッパで普及しました。
ただ、ヨーロッパ以外で行われるようになったのはずっと後だったため、日本にもなかなか広まりませんでした。日本で血液オゾン療法が普及しはじめたのはこの10年ほどのことで、導入している施設はまだまだ少ないのが現状です。
血液バイタル療法、血液クレンジング療法、自家血オゾン療法など、クリニックによって呼び方もさまざまですが、基本的にはすべて同じ血液オゾン点滴療法のことです。
血液オゾン療法とは?

血液オゾン療法は、医療用オゾンを使った点滴療法です。最先端の再生医療の一つで、体内の免疫機能や抗酸化能を活性化させることを目的とした治療法です。
オゾンガスそのものは人間にとって毒になるものですので、体内にオゾンガスを入れるわけではありません。代表的な方法として「大量自家血液オゾン療法」があり、採血した50〜100mlの自分の血液にオゾンを加えて反応させ、活性化した血液を点滴で体内に戻すという療法です。
血液が入った容器に微量の医療用オゾン・酸素混合ガスを注入すると、赤血球が酸素を取り込み鮮やかな赤色に変化します。この時、オゾンは血液中で反応し脂質を酸化するとすぐに分解されて消失するため、体内に残留することはありません。
このオゾンと反応し活性化した血液を点滴で戻すと、体内でさまざまな反応を起こします。有害物質を分解・除去するとともに、免疫細胞を刺激し、自然治癒力を高める効果が期待されています。
血液オゾン療法は、免疫力や細胞活性化といった体の根本的な機能に働きかけるため、病気の治療および再発予防や、老化防止にもつながるという広い効果が期待されています。ヨーロッパやアメリカではがん患者さんの補助療法としても盛んに行われています。
血液オゾン療法の効果
医療現場で使用されるオゾンは、医療用酸素から生成された純度の高いものです。血液オゾン療法では、この医療用オゾンを血液に作用させることで、様々な効果が期待できます。
1. 免疫細胞の活性化
オゾン療法は、血液中の白血球に働きかけ、免疫細胞を活性化させます。活性化した免疫細胞は、体内の異物や異常細胞をより効率的に攻撃・排除できるようになり、免疫力の向上に繋がります。
2. 血流改善効果
オゾン療法には、赤血球の変形能を高める働きがあります。赤血球は、酸素を全身に運ぶ役割を担っていますが、オゾン療法によってその柔軟性が高まることで、毛細血管のような細い血管にもスムーズに流れるようになります。さらに、オゾン療法により赤血球の酸素運搬能が向上することもわかっています。その結果血流が良くなることで、冷え性や肩こりが改善することや、細胞の隅々まで酸素が行き渡ることで新陳代謝が促されることがわかっています。
3. 抗酸化作用
現代社会において、私達は様々なストレスにさらされています。ストレスを感じると、体内で活性酸素が過剰に発生し、細胞にダメージを与えてしまいます。オゾン療法は、この活性酸素を除去する強力な抗酸化作用を持っています。活性酸素の発生を抑え、細胞を守ることによって、老化や病気の予防に役立ちます。
4.デトックス効果:
有害物質の分解や老廃物の排出を促し、体内環境を健康的に保ちます。
様々な症状に効果を発揮!血液オゾン療法の活用例

血液オゾン療法は、免疫力向上、血流改善、抗酸化作用など、様々な効果を持つことから、幅広い症状に効果が期待できます。
1.免疫力低下による症状
・風邪をひきやすい、治りにくい
・インフルエンザなど感染症の予防
・口内炎を繰り返す
・帯状疱疹の予防
2. 血行不良による症状
・肩こり、腰痛
・冷え性
・疲労感
・頭痛、めまい
・睡眠障害
3.アンチエイジングなどその他
・アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎
・美肌効果(シワ、シミ、くすみ改善)
・糖尿病
・動脈硬化
・がん予防
副作用は?安全性は?注意点は?気になる疑問を解消!

【副作用について】
オゾン療法の安全性に関する研究によると、副作用の発現率はわずか0.0007%と極めて低く、しかも、その症状はいずれも軽度で、短時間で自然に消失すると報告されています。
血液オゾン療法は、適切な量で行えば、非常に安全性の高い治療法です。しかし、稀に以下のような副作用が現れる可能性があります。
・軽度の頭痛、吐き気
・採血およびオゾン注入部位の痛み、内出血
これらの副作用は一時的なもので、通常は数時間~数日で治まります。
点滴が始まって強い痛みがある場合は、すぐに医師やスタッフに伝えるようにしましょう。
【主な注意点】
妊娠中の方や特定の疾患をお持ちの方は血液オゾン療法を受けることができません。
また、以下に該当する場合は治療の適用外となるため、事前に医師に相談し、自身の体調や体質に適しているかを確認することが重要です。
〈血液オゾン療法を受けられない主な疾患〉
・甲状腺機能亢進症
・G6PD欠損症
・心筋梗塞の急性期
・血小板減少症
など
【血液オゾン療法前の準備について】
水分補給の重要性: 血液オゾン療法では、約100mlの血液を採取するため、当日は来院前に水分を十分に摂取することが非常に重要です。水分が足りないと、血液の濃度が高くなり、治療が難しくなる可能性があります。特に、健康的な血液循環を維持するために、日々の水分摂取を心がけることをおすすめします。
抗酸化物質の摂取制限: 治療前にビタミンCなどの抗酸化物質を摂取している場合、オゾンの効果が減少する可能性があります。オゾンが血液と反応する際に、抗酸化物質によってオゾンが消去されるためです。したがって、血液オゾン療法の前にはこれらの物質の摂取を控えることをお勧めします。治療後には問題なく服用できます。
これらのポイントを守ることで、治療の効果を最大限に引き出し、安全に実施することができます。
安全に治療を受けるためにも、必ず医師と相談のうえ適切な判断を行いましょう。
どのくらい点滴するの?気になるお値段は?

オゾン療法の具体的な詳細、例えば点滴するオゾンの量や回数、費用については、治療を行う医療機関や患者の健康状態、目的によって異なることがあります。以下は一般的な情報ですが、個々の条件により異なることをご理解ください。
【点滴の量と回数】
オゾンの量: 一般的には、50mlから200ml、通常は100mlの血液に医療用オゾンを混合します。この濃度や量は、治療目的や患者の健康状態により調整されます。
治療回数: 初回の治療では、1週間に1回から2回の頻度で数週間続けることが一般的です。その後、効果を維持するために、1ヶ月に1回程度のペースで治療を続けるケースもあります。
【費用の目安】
オゾン療法は、日本国内では通常の医療保険が適用されず、自由診療として提供されます。そのため、治療費用は医療機関によって大きく異なりますが、以下が大まかな目安です。
1回の治療あたりの費用: おおよそ1万円から2万5千円程度。
クリニックの場所や、患者さん一人一人に対する時間のかけ方、点滴するスペースの取り方なども料金に影響します。都心の一等地のクリニックと地方のクリニックとでは、料金に差がでることもあります。初回は初診料もかかります。
点滴療法で重要なこと:クリニック選びを慎重に!

点滴療法を受ける際に大切なのはクリニック選びを慎重に行うことです。疑問点があれば、カウンセリングや診察の際に、納得いくまで医師に相談することが大切です。予算を無視した提案をするなど、納得できない点があるクリニックは避けたほうが良いです。
良いクリニックの選び方に関しては、こちらの記事もご参照ください。
リンク先
【ビタミンC点滴】ここをおさえて!良いクリニックの選び方4選
点滴療法のクリニック選びには、点滴療法研究会が発行している認定医資格も参考になります。認定医は、オゾン療法の基礎から応用までを受講し、試験に合格したうえで、実際の症例報告を提出した医師に与えられます。クリニック選びに迷った場合は認定医資格をもつ医師、歯科医師のクリニックから選ぶのが安心です。
点滴療法研究会ホームページのクリニック検索をぜひご活用ください。
まとめ

忙しい毎日のストレスや、年々きびしくなる寒暖差など、現代社会には慢性的な疲労や体調不良、そして過度な老化を引き起こす要因がたくさんあります。そのなかで、自分の体に合った健康法を見つけることは、より充実した生活を送るための大切な一歩です。
血液オゾン療法は、自然治癒力を高めることで体調不良を改善させたり、アンチエイジング効果などによって全体的な健康状態を向上させたりといった効果が期待される治療法です。今回の記事でご紹介したとおり、副作用の可能性は非常に低い一方で、多様な効果効能が報告されています。
ストレス社会において、少しでも元気に健康でいたいと考えている方は、是非一度、専門家のいるクリニックを受診してみてはいかがでしょうか。