【医師監修】がん治療法の新たな選択肢「高濃度ビタミンC点滴」とは

日本人の2人に1人ががんになる時代と言われている今、がんは誰にとっても身近な病気といえます。実際、この記事をご覧になっている方の中には、自身や家族が突然がんになって戸惑っているという方もいらっしゃるかもしれません。

がんの治療法として抗がん剤治療や放射線治療が一般的ですが、これらは正常な細胞にも影響を与えてしまうため副作用が伴います。そのため、治療を続けるのが身体的にも精神的にも難しいという声もきかれます。

実はいま、副作用のない新たながん治療の選択肢として「高濃度ビタミンC点滴」が注目されています。この記事では、多くの医師も注目する高濃度ビタミンC点滴について詳しく解説します。

高濃度ビタミンC点滴とは


1970年代から海外を中心に注目を集めてきた高濃度ビタミンC点滴。現在では多くの論文が発表されており、がん患者の痛み・倦怠感・食欲低下・不眠などの症状を改善し、生活の質(QOL)を維持することに効果があるとわかっています。他の治療法と併用することで、がんの進行を抑えたり、がん腫瘍を縮小させたという事例もあります。

抗がん剤や放射線治療と異なり、ほとんど副作用がないこともポイントのひとつです。続けやすいがんの治療法や補助療法のひとつとして、推奨している医師も多くいます。

サプリメントや食事での摂取も一般的なビタミンCですが、がん治療を目的にする場合は点滴で血中濃度を飛躍的に高めることが必要です。がん細胞を殺すためには、ビタミンCの血中濃度が3,500~4,000μg/mlになることが必要です。はじめはビタミンC25gの点滴でスタートし、25g、50g、75gと増やして、有効血中濃度に達するように調整します。がん治療は、週に2、3回、病状によっては週3回以上の頻度で点滴を続け、多くの場合は3ヶ月くらいから頻度を減らしていくことができます。

吸収率の低いビタミンCは、口から食事やサプリメントで効率的に摂るのが難しい栄養素であるため、高い血中濃度を目指す場合は点滴がおすすめです。点滴と経口の違いはこちらの記事で紹介しています。

【ビタミンC】点滴とサプリメントの違いは【血中濃度は数十倍!】

がん治療の強い味方!ビタミンCの効果


ビタミンCが体内で高濃度になると、強い酸化作用をもつ物質が誘導されます。がん細胞はこの強い酸化作用をもつ物質に攻撃されやすい細胞なので、結果的にビタミンCが正常細胞には影響を与えない形で、がん細胞を狙い撃ちすることができるのです。

さらに、高濃度ビタミンC点滴は標準治療と併用することで効果を発揮します。
例えば放射線治療の場合、放射線を浴びる皮膚への影響は必ず出るものです。高濃度ビタミンC点滴を併用することで、皮膚への影響を軽減することができるだけでなく、回復を早めることもできます。つまり、ビタミンCには、がん治療における副作用を軽減する効果を期待することができるのです。がん治療において、副作用というのは精神的に厳しいものです。そこをフォローアップしてくれる意味でも、高濃度ビタミンC点滴の併用はおすすめです。

他にも、痛みを軽減する、抗ストレス物質として働く、免疫力を高める、全身の栄養状態を保つなど、標準的な治療を受けている方の、身体面・メンタル面のケアにも高濃度ビタミンC点滴療法は役立ちます。
また、高濃度ビタミンC点滴療法は、予防効果にも期待ができます。
親族にがんの方がいらっしゃったり、生活習慣が乱れていたりなど、がんへの不安感を感じている、という人も多いのではないでしょうか。高濃度ビタミンC点滴は、強い抗酸化作用により、がんの原因となる活性酸素の無毒化、ニトロソアミン(発がん性のある有機化合物)生成の抑制、抗がん作用のあるインターフェロンの生産促進作用などがあり、がんの予防にも効果が期待できるといわれています。

■高濃度ビタミン点滴による、がんの効果や副作用等について、
詳細はこちらの記事もご参照ください。

【高濃度ビタミンC点滴】医師が勧めるあきらめない「がん治療」

■高濃度ビタミン点滴による、アンチエイジングなどの効果や副作用等について、
詳細はこちらの記事もご参照ください。

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どんながんにも効果が期待できるのも強み


高濃度ビタミンC点滴療法は、がんの種類を選ばないこともポイントです。どのようながんであっても、効果が期待できるといわれています。

<適応疾患例>
胃がん・大腸がん・直腸がん・肝臓がん・膵臓がん・腎臓がん・肺がん・脳腫瘍・前立腺がん・乳がん・子宮がん・卵巣がん・膀胱がん・白血病・多発性骨髄腫・悪性リンパ腫 など

1つの検査だけで多くの人が使用できます


高濃度ビタミンC点滴は多くの場合副作用の心配がなく様々ながんに効果が期待できますが、1つだけ事前に検査が必要です。「G6PD欠損症」という赤血球膜の酵素異常がある方は治療を受けることができません。日本人にはあまり多くないのですが、遺伝的に発生する異常で、多くの場合は無症状で日常生活には影響ありませんが、必ず事前に検査を受けましょう。

点滴療法研究会会員クリニックは、50g以上のビタミンC点滴を行う前、もしくは25g以上を継続的に行う前には、必ずG6PDの検査を実施しています。 その他、心不全や腎不全など、水分負荷が身体に影響を与える病気をお持ちの方には、高濃度ビタミンC点滴は使用できません。高濃度ビタミンC点滴療法が行えるかどうかは、必ず担当医と相談してみましょう。

薬剤は、防腐剤無添加を推奨


高濃度ビタミンC点滴(6gを超えるもの)では、防腐剤の入っていない、安全なビタミンC注射薬の使用を推奨しています。
残念ですが、いまだ防腐剤の入っているビタミンC注射薬を使用しているクリニックがあります。点滴前に使用しているビタミンC注射薬について必ず確認しましょう。
例えば、日本の保険診療などで一般的に使用される1本2gのビタミンC製剤の場合、50gの点滴をする場合は25本必要になります。つまり、防腐剤も25本分体内に入れることにもなります。
比較的安い料金のビタミンC点滴の場合、防腐剤入りのビタミンC注射薬を使用していることがあるので注意しましょう。費用は比較的安くすみますが、健康と安全を考えれば防腐剤入りのビタミンC製剤を使うことは推奨できません。

高濃度ビタミンC点滴療法に使用する液体のビタミンCは、温度の変化に対しても不安定で壊れやすくできています。このため、クリニックでは点滴用ビタミンC製剤を冷蔵庫で保管しなければなりません。アメリカ薬局方が定めた基準(USP基準)によれば、注射用 ビタミンC製剤は、生産・出荷されてから点滴として使用される直前まで、常に2~8℃の冷蔵庫で管理するように決められています。点滴を行う当日になって初めて室温に戻します。温度変化や日光に弱く、デリケートに取り扱わなければならない繊細な薬剤なのです。

しかし日本では、一部のビタミンC製剤は常温で流通しており、暑い夏は高温の倉庫に放置されていたりなど、管理体制が徹底されていないケースがあります。このようなビタミンC製剤を使用した場合、期待した効果が得られないだけでなく、劣化(酸化)したビタミンCが他の治療などに悪影響を与える可能性も示唆されています。
使用している製剤の種類や保管方法に関して、点滴を受ける前に必ず主治医に確認しましょう。

■適切な薬剤を使用しているか要確認!冷蔵輸入が必須!!
詳しくはこちらの記事もご参照ください。

【ビタミンC点滴】ここをおさえて!良いクリニックの選び方4選

点滴療法って危険?効果はあるの?種類・副作用・注意点を解説!

高濃度ビタミンC点滴療法を受けるなら認定医クリニックがおすすめ



高濃度ビタミンC点滴療法はあらたながん治療の選択肢として注目されています。放射線治療や抗がん剤治療のサポートとしてもおすすめです。いずれの場合も、正しい方法で管理された薬剤を、正しい方法で提供しているクリニックを選ぶことが重要です。医療の質、薬品の質、医師・スタッフの信頼性、クリニックの場所や金額などを多面的に考慮して、納得のうえで点滴治療の計画を立てましょう。

■良いクリニックの選び方に関しては、
こちらの記事もご参照ください。

【ビタミンC点滴】ここをおさえて!良いクリニックの選び方4選
点滴療法のクリニック選びには、点滴療法研究会が発行している認定医資格も参考になります。点滴療法の正しい提供方法など複数の講座を受講した上で試験に合格したクリニックだけが与えられる認定医。クリニック選びに迷った場合は認定医資格をもつクリニックから選ぶのが安心です。

点滴療法研究会ホームページのクリニック検索をぜひご活用ください。

この記事の監修医師

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