副作用がほとんどなく、治療や予防、QOL(生活の質)の改善に大いに効果が期待できる治療法として、点滴療法を提供する多くの医師が勧めています。
この記事では、がん治療と高濃度ビタミンC点滴に期待できる効果、気になる副作用や料金などについて、詳しく解説します。
Contents
そもそも「がん」とは?2人に1人ががんになるって本当?
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性65.5%、女性51.2%と、2人に1人以上ががんになると言われています。
また、がんで死亡する人は男性で26.2%、女性17.7%と、多くの人ががんの影響を受けることが分かっています。
<国立研究開発法人国立がん研究センター、2019年、2021年データより>
がん(癌)は、細胞の異常な増殖と分化が起こり、健康な組織や臓器を侵害する疾患の総称です。正常な細胞は通常、適切なタイミングで増殖し、老化や損傷に対する適切な反応を示しますが、がん細胞はこれらの制御を失って無制限に増殖する傾向があります。これにより、がん細胞が腫瘍を形成し、周囲の組織や臓器に影響を及ぼすことがあります。
がんはさまざまな種類があり、臓器や組織によって名前が異なります。がんの原因は複数あり、遺伝的な要因や環境要因、生活習慣、放射線暴露などが関与することがあります。
早期発見や治療の進化により、がんの治療方法は多様化していますが、依然として一部のがんは完治することが難しく、予防や早期検診が望まれます。
がんの治療法は?
がん治療は、がんの種類・部位、ステージ(進行度)、患者の健康状態に基づいて個別に計画されます。
がん治療の方法としては、一般的に3大治療と呼ばれる手術・放射線療法・化学療法(薬物療法)に加え、免疫療法や分子標的治療薬、量子線治療、温熱療法、栄養療法など、様々なものが存在します。
これらの治療法は単独で行われる場合もありますし、組み合わせて使用されることもあります。
個々の症例に応じた最適な治療計画を立てるためには、信頼できる医師や、各分野の知見を持つ専門医との相談が重要です。
がん治療は進化しており、最新の研究成果やガイドラインにも常に注意を払う必要があります。
すべての医師がすべての治療法の最新情報を把握しているわけではないので、セカンドオピニオン、サードオピニオン、といった形で、広く医師の意見を聞きながら自分に最適な治療法を知ることで、納得のいく治療計画を作っていきましょう。
本記事では、がん細胞の成長を妨げる可能性があり、がん治療効果を高める「高濃度ビタミンC点滴療法」について解説します。
ビタミンCとは?なぜ点滴がいいの?
ビタミンCとぶどう糖の化学式は、とてもよく似ています。ほとんどの動物は、体内でぶどう糖からビタミンCを合成します。しかし、人間とサル、モルモット、オオコウモリなどの一部の生き物だけは例外で、体内でビタミンCを生成できないため食べ物として口から摂り入れるしかありません。
人間は、体の状態を最適化するために、1日1g(1000mg)から5g(5000mg)のビタミンCの摂取が必要だといわれています。
病気になると、さらに多くの量のビタミンCが必要になります。私たち人間はビタミンCを体の中で作れないので、日頃から意識してビタミンCを摂取しなくてはなりません。
アメリカの研究ではほとんどのがん患者でビタミンCが欠乏していることがわかっています。さらに、がんが進行している人ほどビタミンCの必要量が増えることもわかっています。
このような事実から、がん患者のほとんどにビタミンCの投与が必須であることが理解できます。
しかし、ビタミンCは、口から摂取しても吸収されにくく、サプリメント等で多量に飲んだとしても、多くが尿として失われてしまうという難点があります。
そのため、がん治療中の方には大量のビタミンCを血管に直接点滴で投与する、高濃度ビタミンC点滴がおすすめです。
点滴によって体内のビタミンCの量を急激に増加させることで、欠乏しているビタミンCの補給だけでなく、がん細胞を攻撃する効果が期待できます。
高濃度ビタミンC点滴とは?なぜがんに効果があるの?
高濃度ビタミンC点滴とは、極めて大量のビタミンC(アスコルビン酸)を配合した輸液を静脈に点滴注射することで、がん細胞の動きを封じ込めるという方法です。
ビタミンC点滴は美容やアンチエイジングを目的に行われることもありますが、がんの治療・予防においては、症状に合わせてより多量のビタミンCを投与します。
がん治療への効果は?
ビタミンCを点滴で大量に投与することで、過酸化水素を発生させ、がん細胞を直接的に攻撃することができます。
このメカニズムは、どの部位のがんにも期待できるものですが、効果の出方は人によって大きく異なります。高濃度ビタミンC点滴だけでがんが小さくなったり無くなったりする人もいる一方で、抗がん効果を感じない人もいます。
一概には言えませんが、がんの進行具合、進行スピード、身体の状態(例えば全身に不調がある場合は、がん以外の部位でビタミンCが使われてしまう)、生活習慣、体質など、様々な要因が関係していると考えられます。
また、一見効果がないと思われるケースでも、実際には進行スピードが緩やかになっていたり、転移の予防になっていたりなど、効果の出方は人それぞれです。
また、手術・抗がん剤・放射線などの治療と高濃度ビタミンC点滴を併用することで、相乗的な治療効果や、QOLの改善が期待できます。
弱った体を修復して治癒力や免疫力を高め、抗がん剤などの副作用で発生する手足のしびれ、下痢や吐き気などを軽減する作用があります。
がんの予防効果も!
家族・親戚にがんの人が多い、検診でひっかかったことがある、がんにかからないか心配・・・という人にも、予防として高濃度ビタミンC点滴はおすすめです。
高濃度ビタミンCは、強力な抗酸化作用により、がんの原因となる活性酸素を無毒化します。また、胃がんなどの原因となるニトロソアミンの生成を抑制し、抗癌作用のあるインターフェロンの生成を促すことで、がんの予防効果が期待できます。
「高濃度ビタミンC点滴」の効果が出るまでの期間は?どれくらい続ければいいの?
個人差はありますが、がん治療とQOLの改善を目的とする場合、高濃度ビタミンC点滴を週に2~3回、まずは3ヶ月ほど続けるのが一般的です。
担当医師と相談しながら、自覚症状や血液検査の結果を評価して、現在の治療内容(投与量、頻度など)が適切かどうかを検討します。効果の感じ方は人それぞれですが、一般的に3ヶ月程度でがんの治療効果が劇的に現れることは稀です。
しかし、多くの患者さんはビタミンC点滴の開始前と食欲の増加、倦怠感の消失、痛みの軽減などのQOLの改善を実感します。表情の変化や声の張りなど、周囲の家族や友人たちが感じる変化はもう少し早くから現れるケースも多くあります。
高濃度ビタミンCの定期的な点滴に加えて、食事療法や栄養療法、さらにはメンタル面からのアプローチなどを組み合わせることで、たとえ進行がんや転移がん、末期がんであっても、症状やQOLが改善し、日常生活を送りやすくなるケースが多々あります。
高濃度ビタミンC点滴療法を続けて、腫瘍専門医から受けた余命をはるかに超え、何年も普通に生活を続けている人たちがたくさんいます。
■高濃度ビタミン点滴による、アンチエイジングの効果や副作用等について、詳細はこちらの記事もご参照ください。
【美白・美肌】グルタチオン点滴(白玉点滴)の効果は?気になる副作用やお値段も
【アンチエイジング】若さの秘訣!点滴療法で年齢に負けない体作り
歯周病や口臭にも効果有!ビタミンC点滴でお口から健康を見直す
美肌・アンチエイジングに効果あり!【高濃度ビタミンC点滴】とは
早期がん治療、外科手術に先立って行われる術前療法、術後のフォローアップ、化学療法や射線治療との併用、標準治療を受けられない・受けたくない場合の代替療法、そして、従来の考え方では治療法がないとみなされる高いステージの進行がんを含む、さまざまな状況に対応できる治療法として注目されています。
アメリカでは数十年前から統合医療におけるがん治療法の一つとして高濃度ビタミンC点滴療法が行われています。ビタミンCががんを抑制し、QOLを改善することが一般的に広く知られています。
この治療に使うビタミンCの量は、一回あたり50~100gという超大量投与です。レモン2,500~5,000個分にも相当する量のビタミンCを点滴することで、血中濃度を大幅に高めることができます。
ビタミンCの血中濃度が高まると、その成分は血管の外に運ばれ、過酸化水素という活性酸素を大量に作り出します。
健康な正常細胞は、もともと過酸化水素を中和するカタラーゼという酵素を持っているので影響はありません。しかし、がん細胞はこの酵素をほとんど持っていません。そのため、この活性酸素ががん細胞に取り込まれると細胞の機能にダメージを与え、細胞死に向かうのです。
高濃度ビタミンC点滴療法(がん)
がんに対する「高濃度ビタミンC点滴」はこんな人におすすめ
✓有効な治療法がない
✓副作用のない治療法を受けたい
✓抗がん剤や放射線治療の効果が不十分
✓抗がん剤や放射線治療の副作用を和らげたい
✓再発が心配、転移予防
✓がんを予防したい
適応疾患
高濃度ビタミンC点滴は、従来の治療方法の副作用を軽減し、効果を高めるという点でも、がんの補助療法として効果が期待されます。
全てのがんにおいてチャレンジする価値があります。
脳腫瘍、肺がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、肝臓がん、乳がん、卵巣がん、子宮がん、膀胱がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、悪性リンパ腫、中皮腫、多発性骨髄腫など
「高濃度ビタミンC点滴」副作用は?
高濃度ビタミンCは「がん細胞」を殺します。その際、抗がん剤と異なり、嘔気や嘔吐、脱毛といった副作用がありません。抗がん剤や放射線治療との併用で効果が高まるだけでなく、抗がん剤の副作用軽減によるQOL改善や、腫瘍の成長抑制効果が期待できます。
一般的な抗がん剤投与では、がん細胞は次々に死んでいきますが、同時に正常な細胞にも影響を与えています。その結果、抗がん剤の副作用で、抜け毛、吐き気、白血球の減少による免疫力の低下など、強い毒性が現れます。一方で、高濃度ビタミンC点滴は正常細胞には影響を与えないため、副作用は稀です。
高濃度ビタミンC点滴は手術のように皮膚や臓器を切ることもなければ、抗がん剤のようなつらい副作用もありません。一時間ほど、ベッドかリクライニングチェアに体を横たえて、点滴を受けることでがん治療ができる「低侵襲治療」です。
高濃度ビタミンC点滴の注意事項。点滴中にこんなことを感じたら・・・
・点滴中はのどが渇いたり、排尿が促されたりします。飲み物を準備して、トイレまでの動線を確認しておきましょう。
・血圧低下、吐き気、頭痛:特に夏場の脱水時に点滴をすると、血圧低下や吐き気を感じることがあります。点滴前や点滴中に水分補給をおすすめします。また、点滴速度をゆっくりにしたり、ビタミンC投与量を減らすなどで軽減されますので、そのような症状があるときは医師に相談しましょう。
・低血糖:ビタミンCはブドウ糖と化学構造が似ているので、ビタミンCをブドウ糖と認識し、血糖を下げるインスリンの分泌が増加するためと考えられます。 そのため低血糖に似た状態を生じることがあります。 点滴前はできるだけ空腹を避けることをおすすめします。
・血管痛:点滴の際に、針を刺した部位の痛みや内出血が起きる場合がありますが、軽度な場合は短期間で改善するので問題ありません。点滴が始まって強い痛みがある場合は、薬剤が血管の外に漏れている可能性があるので、すぐに医師やスタッフに伝えるようにしましょう。
また、ごく稀に、血管痛を予防する成分を配合しないなど、正しい施術方法を知らずに点滴をしているクリニックも存在します。
点滴療法研究会では、点滴の講習を提供し、必要な知識を持った上で点滴を行うように、会員医師と共に取り組んでいます。心配な場合は、点滴療法研究会の検索サイトから、お近くの会員クリニックや、認定医資格を持ったクリニックを検索してみてください。
「高濃度ビタミンC点滴」受ける前に知っておくべきこと
・健康保険の対象外となります。
・薬との併用については主治医とご相談ください。
・G6PD欠損症という赤血球膜の遺伝性酵素異常がある方は治療を受けることができません。G6PD欠損症がある場合は必ず主治医に告げてください。点滴療法研究会会員クリニックは、50g以上のビタミンC点滴を行う前、もしくは25g以上を継続的に行う前には、必ずG6PDの検査を実施しています。また、腎不全で透析中の方はこの治療を受けることはできません。心不全、大量の腹水、強い浮腫のある方は、点滴で水分を血管内に入れることで病状の悪化をきたす恐れがあるため、この治療ができない場合があります。
・その他以下の場合も主治医とご相談ください。
重篤な体調不良がある場合。妊娠中の女性、子供
・適切な薬剤を使用しているか確認してください。
高濃度ビタミンC点滴(6gを超えるもの)では、防腐剤の入っていない、安全なビタミンC注射薬の使用を推奨しています。
残念ですが、いまだ防腐剤の入っているビタミンC注射薬を使用しているクリニックがあります。点滴前に使用しているビタミンC注射薬について必ず確認しましょう。
比較的安い料金のビタミンC点滴の場合、防腐剤入りのビタミンC注射薬を使用していることがあるので注意しましょう。
費用は比較的安くすみますが、健康と安全を考えれば防腐剤入りのビタミンC製剤を使うことはできません。
例えば、日本の保険診療などで一般的に使用される1本2gのビタミンC製剤の場合、50gの点滴をする場合は25本必要になります。
つまり、防腐剤も25本分体内に入れることにもなります。
高濃度ビタミンC点滴療法に使用する液体のビタミンCは、温度の変化に対しても不安定で壊れやすくできています。このため、クリニックでは点滴用ビタミンC製剤を冷蔵庫で保管しなければなりません。
アメリカ薬局方が定めた基準(USP基準)によれば、注射用 ビタミンC製剤は、生産・出荷されてから点滴として使用される直前まで、常に2~8℃の冷蔵庫で管理するように決められています。点滴を行う当日になって初めて室温に戻します。
温度変化や日光に弱く、デリケートに取り扱わなければならない繊細な薬剤なのです。
使用している製剤の種類や保管方法に関して、点滴を受ける前に必ず主治医に確認しましょう。
適切な薬剤を使用してるか要確認!冷蔵輸入が必須!!詳しくはこちら
【ビタミンC点滴】ここをおさえて!良いクリニックの選び方4選
どのくらい点滴するの?気になるお値段は?
ビタミンCは少量(12.5g程度)の投与量から開始し、段階的に治療レベルまで増量します。抗がん作用を発揮する超高濃度ビタミンCの投与量は、およそ50~100gとされています。 その効果を発揮するためには、通常週2回以上の点滴が必要と言われています。治療の期間は症状によって変わりますので、担当医師と相談しましょう。
自由診療なので、費用は各クリニックでさまざまですが、目安としてはビタミンC50gの点滴で1回2~3万円前後です。
クリニックの場所や、患者さん一人一人に対する時間のかけ方、点滴するスペースの取り方なども料金に影響します。
都心の一等地のクリニックと地方のクリニックとではやはり、料金に差がでることもあります。
初診料や再診料の設定もクリニックによって異なります。
また、ビタミンCの質と量の問題もあります。先にも述べましたが、料金が極端に安い場合は、価格が安く品質や管理の保証がされていないビタミンC製剤を使っていることも考えられます。
継続して点滴を受ける場合は、使用しているビタミンC製剤の種類や保管方法に関して、必ず確認するようにしましょう。
がん治療における高濃度ビタミンC点滴は、継続することが大切です。提供される治療の内容や質に費用が見合っているか、費用的に無理がないか等、しっかり検討して納得した上で、担当医と治療計画を立てていきましょう。