【パーキンソン病】点滴療法で症状を改善・緩和

原因が解明されていない難病の一つ「パーキンソン病」。

神経遺伝的な要因や環境の影響が関与している可能性があるとされていますが、詳しいことはまだ解明されていません。パーキンソン病は、脳の異常により体の動きをコントロールするドーパミンという神経伝達物質がダメージを受け、手足の震えや筋肉のこわばり、歩行障害などの症状を引き起こします。

薬物療法やリハビリテーションなどがあり、これらの症状を抑え、患者さんができるだけ快適な生活を送るためのサポートとして活用されています。

しかしこれらの治療法は、一時的に症状を緩和したり、病気の進行スピードを緩めたりといった目的であり、病気を根本的に治療することは難しいのが現状です。

そこで、今までの治療で症状の改善が難しかったパーキンソン病に対する新しい治療の選択肢として、グルタチオン点滴が注目されています。この記事ではドーパミンの働きを助け、パーキンソン病症状の改善が期待できる治療法、グルタチオン点滴療法について解説します。

パーキンソン病とは


パーキンソン病は、神経の働きを調整するドーパミンという神経伝達物質の不足によって引き起こされる進行性の神経疾患です。主な症状は、震え、筋肉のこわばり、運動能力やバランス機能の低下などがあります。

ドーパミンが不足しパーキンソン病を発症する原因は、遺伝や環境因子、老化などが関係していると考えられていますが、まだ明確に解明されていません。最近では、細胞内の抗酸化機能が低下した状態が原因の一つである可能性も示唆されており、抗酸化力を高めることで症状の進行を遅らせることが期待されています。

パーキンソン病の主な症状




パーキンソン病が発症する年齢のピークは、50歳代後半から60歳代です。若年性の一部のタイプを除いて、一般的には遺伝とは関係のない疾患であると考えられています。

典型的な症状は「動作緩慢(無動)」、「手足の震え(安静時振戦)」、「筋肉のこわばり(筋固縮)」、「姿勢の異常」などです。また、次のような症状もよく見られます。

✓仮面様顔貌(かめんようがんぼう):顔の表情がなくなる、仮面をかぶったように無表情
✓発語障害:大きな声が出せない。うまくしゃべることができない。吃音。
✓書字困難:文字を書く時に手が震えてしまう。
✓細かい運動の障害症状:反応が遅い。動作が緩慢。
✓うつ状態:気分の落ち込み、睡眠障害など。
✓歩行障害:こきざみ歩行、前かがみにつんのめるような歩行(突進歩行)、すくみ足、腕を振って歩けない。
✓姿勢反射障害:姿勢のバランスがとりづらい。方向転換ができない。
✓自立神経症状:立ちくらみ(起立性低血圧)
✓排尿障害:頻尿
✓痴呆症状

など

パーキンソン病の治療法は?


現代の西洋医学において完治が期待できる根本的な治療法がないため、症状を軽減するための薬やリハビリテーションが主な治療方法となります。

パーキンソン病では、細胞内の酸化ストレスが増加することが知られており、この酸化ストレスが脳細胞やドーパミン神経細胞のダメージを引き起こすと考えられます。

そこで、酸化ストレスを軽減するグルタチオンの働きが注目されています。グルタチオンの不足は、ドーパミン受容体の現象および信号伝達の低下、そしてパーキンソン病の進行に関わることが、研究によって示されています。高用量のグルタチオンを点滴で補充することで、脳内のドーパミンの働きを助け、パーキンソン病の症状改善・好転が期待されます。

グルタチオンとは?なぜ点滴がいいの?



グルタチオンは、3つのアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)から成るペプチドです。肝臓や心臓、脳など、あらゆる臓器の細胞の中に存在しています。酸化ストレスを緩和し、体内の有害物質の解毒をすることで細胞の損傷を防ぎ、免疫機能の維持などにも関わる重要な抗酸化物質です。

日本では医薬品であり、点滴・注射・飲み薬として半世紀以上に渡り安全に使用されてきました。グルタチオンの飲み薬は吸収率が低いため、高い効果を期待する場合は点滴が推奨されています。

グルタチオン点滴

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パーキンソン病治療にグルタチオン点滴


パーキンソン病は、脳にとって最も重要な抗酸化物質のひとつであるグルタチオンが減少していることがわかっており、グルタチオンの点滴投与は有効な治療法のひとつです。

この事実をもとに、1996年イタリアのSassari大学のチームがパーキンソン病患者にグルタチオンを点滴投与したところ、症状の顕著な改善が認められました。

米国においては、Dr.Perlmutterがこの治療法を積極的に行い、非常に有効な治療であると報告しています。
現在では南フロリダ大学において臨床研究が進行中です。

参考論文:Prog. Nerve-Psycopharmacol Biol Psychiat 1996;20:1159-70.

どれくらいで効果がでるの?持続期間は?


パーキンソン病の症状改善に確実な効果を得たい、早く効果を実感したい人におすすめのグルタチオン点滴。受けてみたいけど、効果を感じるまでにどれくらい時間がかかるのか、何回くらい点滴をする必要があるのか、気になるという人も多いのではないでしょうか?

効果を感じるまでの期間や、効果の持続期間は、人によって異なるというのが実際です。早い人では、すぐに感じる人もいれば、数回の点滴を受けてやっと効果を実感する人もいます。

点滴の最中や直後に、パーキンソン病の症状である手の震えや足のすくみなどが改善し、字が普通に書けるようになったり、車椅子で来院された患者様が歩いて帰られるといったケースもあります。また、自分で実感がなくても、グルタチオン点滴後に表情が豊かになり、ご家族もとても驚かされるという報告もあります。

グルタチオン点滴を継続して行うことで、歩行困難が改善され、独りで歩くことが可能になったという例もあり、症状改善効果を感じるためには継続した治療をおすすめします。

グルタチオン点滴はパーキンソン病だけでなく、パーキンソン症候群(パーキンソン病と同じような症状を起こすもの。パーキンソンニズム)、本態性振戦の原因はわからないけれども、緊張すると手が細かく震える)などといわれる震えの症状にも、試してみる価値はあります。

直接的な効果の継続は、一般的に600mg~1800mgのグルタチオン点滴で、まずは週2回程度の点滴を推奨していますが、具体的な量や回数は医師と相談しながら決めてください。1ヶ月継続しても効果が感じられない場合には中止を検討します。

「グルタチオン点滴」副作用は?注意すべきことは?


・グルタチオンは体内にもともとある物質で大きな副作用の報告はありません。
グルタチオンの適用症に「妊娠悪阻(つわり)」や「妊娠高血圧症候群」があります。つまり、妊婦さんに投与しても大丈夫なくらい安心な成分ということです。ご心配の方は主治医にご相談ください。

・以下の場合は主治医とご相談ください。
 重篤な体調不良がある場合。妊娠中のかた。子供。

・健康保険の対象外となります。 

・薬との併用については主治医とご相談ください。

・針を刺した部位の痛みや内出血が起きる場合がありますが、軽度な場合は短期間で改善するので問題ありません。点滴が始まって強い痛みがある場合は、薬剤が血管の外に漏れている可能性があるので、すぐに医師やスタッフに伝えるようにしましょう。

また、ごく稀に、正しい施術方法を知らずに点滴をしているクリニックも存在します。点滴療法研究会では、点滴の講習を提供し、必要な知識を持った上で点滴を行うように、会員医師と共に取り組んでいます。心配な場合は、点滴療法研究会の検索サイトから、お近くの会員クリニックや、認定医資格を持ったクリニックを検索してみてください。

どのくらい点滴するの?気になるお値段は?


グルタチオン点滴は、薬剤の量にもよりますが、1回30分程度の時間をかけて点滴します。入れる薬剤の種類や量は、体調や症状によって調整が可能です。 体調や症状、目的によって継続期間は異なりますので、医師と相談して決めましょう。

自費診療なので、金額はクリニックによって様々です。投与量や内容、クリニックの場所などにもよりますが、おおよそ5,000円~15,000円程度です。 クリニックの場所や、患者さん一人一人に対する時間のかけ方、点滴するスペースの取り方なども料金に影響します。多くの場合、都心の一等地のクリニックと地方のクリニックとでは、料金に差がでます。初診料や再診料の設定もクリニックによって異なります。

パーキンソン病特有の震えが止まった!歩けるようになった!人生が変わった!など症状の改善や緩和に効果の期待がもてるグルタチオン点滴。
からだの不調を改善する効果に加え、強い抗酸化作用で老化やからだのサビを予防し、からだの中から健康を目指す人にもおすすめです。
ぜひ一度、グルタチオン点滴を提供している医療機関にお問い合わせください。

この記事の監修医師

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