高濃度ビタミンC点滴(がん治療)
Contents
高濃度ビタミンC点滴(がん治療)とは
がん治療・予防の新たな選択肢
「がん」と診断されたらすぐに始めたい基本治療
高濃度ビタミンC点滴療法は、がん治療を補完する目的で用いられる代替療法の一つです。高濃度ビタミンC点滴療法は、ノーベル賞を2回受賞したライナス・ポーリング博士によって発見された、がんの補完療法です。
高濃度ビタミンC点滴療法は、きわめて濃度の高いビタミンCを配合した輸液を点滴注射することで、がん細胞の動きを封じ込めるという方法です。早期がん治療、外科週つ前に先立って行われる術前療法、術後のフォローアップ、科学治療や放射線治療との併用、そして、従来の考え方では治療法がないとみなされる高いステージの進行がんを含む、さまざまな状況に対応できる治療法として注目のがん治療です。
高濃度ビタミンC点滴療法は、手術のように皮膚や臓器を切ることもなければ、抗がん剤のようなつらい副作用もありません。高濃度ビタミンC点滴療法は、体に負担をかけず、手術・数あるがん治療などと組み合わせも可能なため、点滴療法研究会では、高濃度ビタミンC点滴療法はどの治療法の基本となるがん治療だと考えています。
高濃度ビタミンC点滴療法が、がん細胞だけを攻撃するメカニズム
この治療に使用するビタミンCの量は、1回あたり50~100gという超大量投与です。口からではなく、直接点滴で静脈に投与することで血中の濃度を大幅に高めることができます。血中濃度の上がり方や必要量は個人差があるため、医師と相談しながら治療を進めます。
がん細胞を攻撃するメカニズム
■ビタミンCの酸化と過酸化水素の生成:高濃度のビタミンCが血液中に点滴されると、酸化されて過酸化水素という物質を生成します。
■がん細胞による取り込み:
がん細胞は栄養となる糖を積極的に取り込もうとしますが、ビタミンCは糖と構造が似ているため、がん細胞はビタミンCを糖と勘違いして取り込んでしまいます。
■がん細胞内での過酸化水素の蓄積:
がん細胞の多くは、過酸化水素を分解する酵素であるカタラーゼを持っていないか、その量が少ないため、細胞内に過酸化水素が蓄積します。
■がん細胞の破壊:
蓄積した過酸化水素は強力な酸化作用を持ち、この過酸化酸素が細胞の機能を大幅に抑え込み、がん細胞死に向かいます。
■正常細胞の保護: 一方、正常細胞はカタラーゼを十分に持っているため、過酸化水素を速やかに分解し、細胞へのダメージを防ぐことができます。
がん治療での高濃度ビタミンC点滴の特徴
●副作用が少ない
●免疫機能の強化
●他の治療法との併用可能
●がん治療のストレス緩和
●倦怠感・食欲低下・不眠などの賞状改善効果
●がん予防効果
がん細胞への選択的攻撃
高濃度ビタミンCは過酸化水素を生成し、カタラーゼ酵素の少ないがん細胞を選択的に攻撃します。
副作用が少ない
高濃度ビタミンCが発生させる過酸化水素は、健康な細胞はカタラーゼという酵素を持っているため、傷つけることがないため、副作用はありません。むしろ、ビタミンCの持つ抗酸化作用や免疫力機能効果などの有益な効果が期待できます。
他の治療法との併用可能
化学療法や放射線治療との併用療法として使用でき、それらの治療効果を高める可能性があります。
がん治療のストレス緩和・症状改善効果
ビタミンCはストレス軽減に効果的な栄養素です。がん治療でうける身体的・精神的ストレスをビタミンCが緩和します。また、がん患者の痛み、倦怠感、食欲低下、不眠などの症状を改善する効果が報告されています。
そして、がんと診断された患者さんは、健康な状態の方々と比べて、体内でのビタミンC需要が増加する傾向にあり、特に多くのビタミンCを必要とします。
がん予防効果
ビタミンCの強力な抗酸化作用により、がんの原因となる活性酸素を無毒化し、がん細胞の発生を予防します。
がん細胞はなぜ手ごわいのか
人間の体は細胞からできています。正常な細胞の遺伝子が傷つくと異常ながん細胞に変化します。それが無限に分裂を繰り返してがんを作ると考えられてきました。がん細胞は、どんどん増殖します。正常細胞に比べて成長スピードが早いのです。
がんで一番怖いとされているのが転移と再発です。転移・再発のメカニズムは、がん細胞が増殖を繰り返すのではなく、実は、がん細胞を生み出す親玉であるがん幹細胞が存在し、それが分裂を繰り返して数を増やすことを2005年に大阪大学大学院の森正樹教授が発見しました。
がん幹細胞から生まれたがん細胞は、一定期間急速に増えますが、やがて増殖は止まります。手術や化学療法でがん細胞は消すことができます。しかし、がん幹細胞が残っている限り、それは血中をめぐり他の部位や臓器に移転し、細胞増殖して、完治したと思っていた病状を再発させていることが判明しました。がん幹細胞は若い細胞を次々に生み出すので、がんは巨大化していきます。増殖をとめるにはがん幹細胞を死滅させる必要があります。
高濃度ビタミンC点滴療法が適している方とは
- 標準的がん治療が無効もしくは効果が低い
- 標準的がん治療の効果をより確実にしたい
- 標準的がん治療の副作用を少なくしたい
- 良好な体調を維持しながら寛解期を延長したい
- 標準的がん治療ではなく代替治療を受けたい
※有効な抗がん剤や放射線治療がある場合は併用を推奨します
高濃度ビタミンC点滴を受けられない方
G6PD欠損症
G6PD欠損症という赤血球膜の遺伝性酵素異常がある方は治療を受けることができません。G6PD欠損症がある場合は必ず主治医に告げてください。当会会員クリニックは、25g~50g以上のビタミンC点滴を行う前に必ずG6PDの検査を実施しています。
腎不全で透析中の方
腎不全で透析中の方はこの治療を受けることはできません。
心不全、大量の腹水、強い浮腫のある方
心不全、大量の腹水、強い浮腫のある方は、点滴で水分を血管内に入れることで病状の悪化を来す恐れがあるため、この治療ができない場合があります。
適応疾患
胃がん・大腸がん・直腸がん・肝臓がん・膵臓がん・腎臓がん・肺がん・脳腫瘍・前立腺がん
乳がん・子宮がん・卵巣がん・膀胱がん・白血病・多発性骨髄腫・悪性リンパ腫 など
高濃度ビタミンC点滴の治療頻度
個人差はありますが、がん治療とQOLの改善を目的とする場合、高濃度ビタミンC点滴を週に2~3回、まずは3ヶ月ほど続けるのが一般的です。
担当医師と相談しながら、自覚症状や血液検査の結果を評価して、現在の治療内容(投与量、頻度など)が適切かどうかを検討します。効果の感じ方は人それぞれですが、一般的に3ヶ月程度でがんの治療効果が劇的に現れることは稀です。
しかし、多くの患者さんはビタミンC点滴の開始前と食欲の増加、倦怠感の消失、痛みの軽減などのQOLの改善を実感します。
高濃度ビタミンCの定期的な点滴に加えて、食事療法や栄養療法、さらにはメンタル面からのアプローチなどを組み合わせることで、たとえ進行がんや転移がん、末期がんであっても、症状やQOLが改善し、日常生活を送りやすくなるケースが多々あります。
高濃度ビタミンC点滴療法を続けて、腫瘍専門医から受けた余命をはるかに超え、何年も普通に生活を続けている人たちがたくさんいます。
高濃度ビタミンC点滴の副作用
アメリカのカンザス州ウイチタ市にあるリオルダンクリニックは、高濃度ビタミンC点滴療法によるがん治療を確立したことで世界的に有名な医療機関です。カンザス大学医学部と提携し、これまでに数万件以上の高濃度ビタミンC点滴療法を実施してきました。このクリニックで経験している副反応は軽微で、副作用による死亡例はありません。実際には殆ど副作用のない安全性の高い治療だと言えます。
- まれな腫瘍からの出血:化学療法でも見られる副作用です。
- みせかけの高血糖:点滴終了後の数時間は、簡易血糖測定器で測る血糖値が実際の血糖値より高値になります。
インシュリン治療中の糖尿病患者は主治医と相談し、インシュリンの量を調整してください。 - まれな尿管結石:ビタミンCは尿管結石になりやすいと言われていますが、研究でビタミンC点滴では尿管結石は起こしにくいことがわかっています。