エキスパートインタビュー
トーマス・レヴィ http://www.tomlevymd.com/ 72年Johns Hopkins 大学卒、76年Tulane 医科大学卒、Tulane 大学関連病院で研修、その後同大学関連病院に循環器専門の特別研究員として従事。Tulane 医科大学で准教授を務め、イベリア総合病院・コロラドスプリングス記念病院・デンバー総合病院に勤務後、現在に至る。アメリカ心臓学会(American College of Cardiology)フェロー。著書「Curing the Incurable: Vitamin C,Infectious Diseases and Toxins」や「Stop America’s #1 Killer !」他多数。点滴療法研究会国際ボードメンバーでもある。
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1.点滴療法を始めるきっかけについてお聞かせ下さい。
世界的に有名な歯科医であるハギンス先生のクリニックを訪問した時でした。そのクリニックでは、歯科疾患で重傷な患者さんが治療後から顔色もよく、元気でした。驚いて、その理由を聞いたところ、高濃度ビタミンC点滴を受けながら治療をしているからだと教えてもらいました。例えば金属の詰め物を取り除く治療の時、削った金属口の中に多少とも入ってしまいます。そのような金属毒素から体を守るのに、高濃度ビタミンC点滴がいかに有用であるかをハギンス先生から教えてもらいました。歯科分野の話ではありますが、私は信頼ができそうな新しい医療に常にポジティブです。早速この素晴らしい療法について深く知ろうと思い、まずは自分自身に対して点滴療法を始めたのがきっかけとなりました。
2.点滴療法をどこで修得しましたか?
ハギンス先生のクリニックで初めて高濃度ビタミンC点滴療法を目にしてからは、学会や文献を通して自分自身で研究を続けました。疑問にぶつかると、知り合いのドクターのネットワークを通して質問をし、学び続けました。
3.点滴療法の師匠はいらっしゃいますか?
ハギンス先生が師匠です。私に最初に高濃度ビタミンC点滴を教えてくださいました。
4.これまでに印象に残っている患者さんについてお話しください。
ニュージーランド在住の患者のお話です。
ワイカト地方で農業を営むこの男性は休暇でフィジーに行って、豚インフルエンザに感染をしました。本人はただの風邪だと思って病院にも行かずに苦しいのを我慢し、休暇を終えて帰国しました。帰国後すぐにニュージーランドのタウランガ病院に入院をしますが病状が悪化していったのです。そこでオークランド病院に移送しましたが、そこでも患者の容体は日々悪化する一方でした入院して行われた治療は、タミフルと抗生物質の投与です。
そんな時、彼の義理の兄弟が高濃度ビタミンC点滴治療についてどこかで聞いたことを思い出し、藁にもすがる思いで私のところに連絡がきました。私は早速オークランドにあるCAM(Center for Advanced Medicine)を患者の家族に紹介し、連絡を取らせました。その間にも患者はどんどん衰弱し、病院からは回復の見込みがないので翌週には生命維持装置を切ると家族に伝えられました。
ここから、病院と家族の間で点滴療法を行うかどうかの議論が始まります。CAMの専門医や私からの強い推薦もあり、最後に病院は点滴療法を行うことに同意しました。点滴開始後、なんとたった数日で患者さんの容体に回復の兆しが見え始めたのです。そこで実家に近いワイカトの病院に人工呼吸器と経管チューブをつけて転院しました。ワイカトでも高濃度ビタミンC点滴治療が続けられましたが、投与量が少なかったので、私とCAMの医師は病院に投与量を増やすよう提案をしました。病院の主治医は患者の肝臓機能がビタミンCによって低下しているから投与量を増やせないとの考えだったので、私はすぐに肝臓機能の低下はビタミンCではなく抗生物質の可能性があるとアドバイスをしました。主治医は納得し、再び投与量をあげて高濃度ビタミンC点滴治療が開始され、患者はどんどん回復、数週間ですっかり元気になり退院することができました。この義理の兄弟が生還した患者に向かって「あなたを救ったのは他でもない、ビタミンCだよ」と話している姿が印象的でした。
5.点滴療法研究会の会員へメッセージをお願いします。
点滴療法研究会と柳澤会長のこの約2年間(2010年2月のインタビュー当時)の活動を知って、本当に感動をしています。こんなにも多くの日本のドクターが熱心に点滴療法を学んでいるという状況は、アメリカでも例をみないほどの素晴らしいことです。会員のみなさんが点滴療法を学ぶことで、数多くの患者さんやその家族を幸せにするということを誇りに思い、常に新しいことに挑戦して欲しいと願っています。特にビタミンCに関しては、まだまだ解明されていない素晴らしい効果があると信じています。「この疾患には効果がないだろう」と自己判断をすると大きな成功を逃すことになるかもしれません。ビタミンCや点滴が禁忌でなければ、恐れずにチャレンジして欲しいぐらい高濃度ビタミンC点滴療法は素晴らしい治療です。