エキスパートインタビュー
阿部 博幸 https://tokyocancerclinic.jp/ 【経歴】 1964年札幌医科大学卒業。医学博士。クリーブランドクリニックにて臨床フェローを修了。 順天堂大学医学部講師、日本大学医学部助教授、スタンドフォード大学客員教授、杏林大学医学部客員教授を経て医療法人社団博心厚生会を設立し、理事長に就任。 2002年に米国ガン・コントロール協会から「ガンと免疫療に使う生薬の研究における成果」に対して表彰を受ける。著書に「生きている。それだけで素晴らしい」(PHP研究所)、「最新の癌免疫細胞療法-リンパ球療法から樹状細胞がんワクチンまで-」(永井書店)、「個別化医療テキストブック」(翻訳/国際個別化医療学会)「Ovarian Cancer Immunotherapy」(Chapter 9: Heat Shock Protein Vaccine Therapy for Ovarian Cancer,Oxford University Press)他多数。クリニックでは多価樹状細胞ワクチン治療を柱にこれを補強する温熱療法、高濃度ビタミンC点滴療法、キレーション療法、オゾン療法、標準治療の長所を組み合わせたがんの統合医療を行っている。 医学博士 日本臨床内科医会専門医 労働衛生コンサルタント 国際個別化医療学会 理事長 Fellow of American College of Cardiology (F.A.C.C.) Fellow of American College of Chest Physicians (F.A.C.C.P.) |
1.点滴療法を始めるきっかけについてお聞かせください。
今から20年前に米国のワシントン州シアトル郊外にあるタホマクリニックを訪問しました。院長のDr. ジョナサン・ライトから米国のいろいろな統合医療の現状を知ることができました。その中でも特に点滴療法に興味を持ち、さまざまな点滴療法のなかからキレーションを自ら体験しました。それは大変に素晴らしいもので、いつか自分でも始めたいと思っていましたが、点滴に4時間もかかるのは実用性がないと諦めていました。しかし、キレーションの素晴らしさが頭に残っていて、遂に2年前からクリニックで始めることになりました。
2.点滴療法をどこで修得しましたか?
ニューヨークのロックフェラーセンターにあるDr. ジョン・サレルノの統合医療センターと提携し、その技術を導入しました。
3.点滴療法の師匠はいらっしゃいますか?
従って、Dr.ジョン・サレルノが師匠と言えます。他にも、キレーション療法を開発したDr.ゲーリー・ゴードンにもいろいろご指導をいただきました。
4.点滴療法の得意分野は?
カルシウムEDTAキレーション、ビタミンC点滴療法、そして血液オゾン療法など。
5.これまでに印象に残っている患者さんについてお話ください。
(1) 68歳の患者様で間歇性跛行症の方がおりました。50メートルほどしか歩くことができませんでしたが、キレーション療法を30回受けた後には軽い登山が出来るよう
になりました。
(2) 膝の痛みで和式トイレが使えなかった方が血液オゾン療法を5回受けた後、自分で和式トイレに行けるようになりました。
(3) 脳梗塞を患った方で思考が非常にスローだった方が、血液オゾン療法後非常に活発になられました。
(4) 無数の肺がんが多発した方に活性NKT細胞療法を行った後、腫瘍が消失した例があります。活性NKT細胞療法はがんの症例に概ね良好な結果をもたらしています。
6.今、一番興味のある治療法は?
がんに対しての樹状細胞を用いた分子標的治療です。
7.点滴療法を始めたばかりの方へのメッセージをお願いします。
点滴療法をこれから始める人そして始めたばかりの人は、実際に治療を行っている現場の先生からハンズオンで技術を伝授してもらうことが何より大切です。また安全第一の治療なので協力体制を組んでいくことも大切です。
9.点滴療法研究会の今後の展望についてお聞かせください。
いろいろなハンズオンセミナーなどを開いて、有効な点滴治療をできるだけ多くの先生に知って頂くようにする。また相互の意見交換で更に新しい治療を模索していきたいと考えます。